なんてことはありませんか?
この記事では、今までたくさんの英語スキルのある人材を募集し採用してきた私が、せっかく採用したけれどうまくマッチしなかった残念な事例を紹介します。事例を通して、英語だけをコアスキルに位置づけていると必ずしもビジネスの現場で生かしきれないことを知っていただければと思います。
ビジネスの現場で英語力を発揮するうえでもっとも大事なのは、4技能のうちライティングスキル、しかも伝わる英語を書く力だということをあらためてお伝えしたいと思います。
スキルアンマッチを起こした!
数年前、私の部署に、英語が得意だという派遣社員の人を採用しました。Sさんといいます。
Sさんは、履歴書によれば、
・両親は日本人で、アメリカで育つ
・高校、大学ともアメリカ
・日本でビジネスキャリアを積むのが希望
・幼少期から家庭では日本語を使っていましたが、大学時代から本格的に日本語を勉強
・アメリカの大学では会計とマーケティングを専攻
・両親はアメリカ在住のため大学卒業後単身で日本に来て就職
・1社目は化粧品会社でマーケティングのインターンを1年ほど
・2社目は旅行会社でインバウンド向けのツアー計画提案や各種サポート業務を1年ほど
・英語のスピーキングとリスニングはもちろんネイティブ。TOEICはほぼ満点
私は当時、業務の必要性から、英語力に加えて即戦力となるスキルを持っている人材がほしいと思っていました。具体的には、監査チームに入ってもらおうと思っていたので、経理や購買などの実務経験がある人が望ましいと思っていたのです。
Sさんの場合は、年齢は20代半ばで、上記のような職歴でしたので実務経験は豊富とはいえません。でも大学で会計の勉強をしたとのことでしたので知識としてはありそうです。また面接すると日本語の受け答えも問題なく人柄もよさそうでした。実務経験の不足はOJTで成長できるだろうと思い、派遣社員として来てもらうことにしました。
たとえば、「ERP(基幹情報システム)を導入することで、以前より業務効率が向上した」という内容のことを英語で資料に記載するようお願いしたことがありました。
Sさんは、“We are very satisfied with how ERP has made our job much easier…”というように書いてくれました。英語としては滑らかで、何の問題もありませんね。
ですが、その資料を見てもらう主な想定読者は、Sさんにもすでに紹介している相手で、あまり英語が得意ではない日本人の役員でした。かつその役員は、ERP導入前後の経緯もあまりよく知らないはずでした。それもSさんは知っているはずでした。そこでここではベタでいいので、ERP導入以前はどうだったのか、導入してからどうなったのか、ということがスッと飲み込みやすいように書いてほしかったと思うのです。たとえば、
“Before ERP, everything was stored by paper. Now that ERP has been introduced, all papers will be scanned and stored electronically, which has made the operation much easier and more efficient…”といったように。
もちろん資料化にあたっては紙面の都合もあり、こんなに長く書けない事情も現実的にはあるかもしれません。また、くどくならないようにする工夫も必要です。ですが言いたいのは、ビジネスの現場では、伝わる英語を書く力が決定的に大事だということです。
実務経験と高い英語力の両方を備えている人はなかなかいません。そこで、実務経験はこれから積んでいけばいいとして英語力が高いことを評価して採用したSさんでしたが、残念ながら伝わる英語を書く訓練ができていませんでした。「これからおいおい訓練してもらう」というように悠長に構える余裕はなかったので、派遣期間の更新はしませんでした。。。
伝わる英語を書く訓練の方法おすすめ
ビジネスの現場では、私がそうであったように、英語スキルがあって、かつ即戦力になる人を求めているケースは多いと思います。もしも実務経験が乏しく、英語力だけしか売りがなく、しかし伝わる英語を書く訓練が不十分と自覚できる場合は、今日お伝えした事例のようなアンマッチを起こす可能性が高いです。スキルアンマッチは、仕事をする人にとってもビジネスの現場にとっても不幸です。
英語「だけ」を必要とする職種であれば別ですが、多くのビジネスの現場では、たとえ英語ネイティブであっても留学経験があっても、それだけではスキルマッチングはむずかしいでしょう。英語は武器になりますがあくまでもコミュニケーションツールです。英語力だけでキャリアをスタートする場合であっても、伝わる英語を書く訓練をしておくことは不可欠です。そして、実務経験や社会人経験があまりなくても、伝わる英語を書く力を常日頃から鍛えておけば、さまざまなビジネスの現場で即戦力になれるのです。
英語のライティングスキルを鍛えるおすすめの練習方法
伝わる英語を書く力を蓄えておくために、汎用性の高いテキストに目を通して準備しておくことをおすすめします。ここでは2冊紹介します。
1冊目。この本では、英語で仕事をするためのスピーキングやリスニングのヒントも多いですが、私がおすすめするツボは、「文章を書くスキル」について意識を高める、といった重要なポイントについて解説していることです。
2冊目。この本では、ChatGPTを活用して英語を武器に変える方法を解説しています。ビジネスの現場で使う英語は、4技能のうちライティングが特に重要かつ注意が必要で、ChatGPTだけでは伝わる英語を書くには十分ではないと私は言い続けています。ですがChatGPTを実践的なビジネススキルとして使いこなせるように準備しておくことは伝わる英語を書ける力のベースとして有効だと思います。
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まとめ
・伝わる英語を書く準備がいつもできているようにライティングスキルは継続して訓練しましょう
英語力と実務スキルを同時に満たす人は決して多くはないというのが私の実感なので、両方を持つことは大きな強みとなります!
ぜひ、伝わる英語を書く力を養う日ごろの準備運動を欠かさないで、ビジネスの現場から求められる人材になってください。